「片耳難聴」とは左右どちらかの耳の聴力が下がった状態(難聴)のことをいいます。
「もう片方の耳が正常であれば、それほど困らないのでは?」と思われることも多いですが、片耳の聴力が悪いことで日常生活の様々な場面で支障をきたすことになります。
ちなみに、日本では片耳が全く聞こえなくても、もう片方の耳の聴力が正常であれば、基本的に「障害者手帳」を取得することはできません。
そこで「片耳難聴者200名」を対象に「片耳難聴の悩み」に関するアンケート調査を行いました。
本記事では、その結果を基に「片耳難聴ならではの悩み」をランキング形式でご紹介します!

片耳難聴の人は日常生活でどのような悩みを抱えているのでしょうか?
片耳難聴者の悩み TOP5
5位 複数人での会話
「片耳難聴」では、静かな環境で話をしたり、対面で2人で話す分には、さほど大きな問題はありません。
しかし、複数人(3人以上)の会話になると、2人の時に比べ、聞き取りが格段に難しくなります。「片耳難聴者」の中には2人だとよく話すのに、3人になると急に静かになるという人も多いのではないでしょうか。
飲み会や会議などにおいて、複数人が同時に話をしていると、必要な情報をキャッチすることにかなりの難しさを感じます。
雑音下では、さらに聞こえにくくなるため、カフェや居酒屋を選ぶ際には、出来るだけ静かな環境を選ぶことが大切です。
4位 聞こえたフリをする
以前Twitterでこのような投稿をしました。
聴覚障害者の多くは、聞こえていないにも関わらず周囲の輪を乱さないために、あえて「聞こえたフリ」をする。情報を得れないことの辛さ以上に自分を騙し続けることこそが何よりもしんどい。私が前職を辞めた1番の理由。みんな良い人すぎて、精神的に追い詰められる。自分への嘘は時に注意が必要。
— なんち 片耳難聴 (@nanti_tsunagaru) February 18, 2020
この忙しい現代社会の中で生活していると、聞き返すことに躊躇してしまう場面も少なくありません。
常に慌ただしくしている人や、周囲が盛り上がっている場では、いつも以上に聞き返すことにためらってしまう人も多いのではないでしょうか。
本当は聞き返したいけれど、周囲の輪を乱さないために、あたかも分かっているかのように笑ったり・相槌を打ったりしてごまかす人も多いと思います。

これは結果として「自分自身に嘘をつくこと」にもなると言えるので、決して良いことではありません。
3位 音の方向性や距離感の特定が苦手
「片耳難聴」になると、片方の耳にしか十分な音が入って来ないため、音の方向性や距離感をつかむことが難しくなります。
そもそも皆さんは、「なぜ耳が2つあるのか?」答えることができるでしょうか?一般的には次の2つだと言われています。
2.騒がしい場所で必要としている音を聞き分けるため(カクテルパーティー効果)
耳が2つあることで、左右で音の大きさが異なって聞こえるため、音源の方向性や距離感を無意識のうちに特定することができるのです。
しかし、左右の聴力が偏っている「片耳難聴者」は上記のことが非常に難しくなるのです。
そのため「急な呼びかけ」に反応できなかったり、自転車に乗っている際に事故に遭いそうになったり、携帯電話の鳴っている場所が分からないなどの困りごとに遭遇することでしょう。

これが意外と不便に感じることも!
2位 座る位置・立ち位置問題
「片耳難聴者」にとって座る位置(立ち位置)というのは非常に大切になります。
どうしても、聞こえが悪い耳の方から話しかけられると、声が聞き取れず会話が上手くいかないケースが多くなりますから。

この位置問題に関しては日常生活で遭遇することが頻繁にあるんです。
具体的には、学校での席順・会社での会議の席位置・バス・新幹線などの乗り物の座席・友達と道を歩くとき・就活のグループディスカッション・飲み会・映画館の席位置など多岐に渡ります。
一度失った聴力は基本的には戻らないため、「片耳難聴者」はこの問題と一生付き合っていかなければなりません。
難聴というのは「見た目」では分かりづらいため、周囲にカミングアウトしたとしても、なかなか覚えてもらえいこともあって大変です。
飲み会や会議などがある際には、その都度「こっちの耳が悪いから席譲ってもらっていい?」と一言添えるのがベストだと思います。
1位 騒がしい場所での聞き取り
「片耳難聴」に限った話ではありませんが、難聴者の多くが「騒がしい場所」において特定の音を聞き取ることを苦手としています。
これは「カクテルパーティー効果」という言葉を使って説明されることが多いですが、本来人間は騒がしい環境下でも、 自分に必要な情報だけを選択して聞き取ったり、 見たりすることができます。

周囲が騒がしくしていても、自分の名前を呼ばれた時に反応できたりするのは、この「カクテルパーティー効果」が発揮されているからです。
しかし、これは両耳の聴力が正常の場合のみになります。
片方の耳の聴力が悪くなると「カクテルパーティー効果」を期待することが難しくなります。
そのため、飲み会やお祭り・イベント・ショッピングモールなどの騒がしい場所での聞き取りに高いハードルを感じることになります。
静か+対面で話すことのできる場所が、片耳難聴者にとって会話をするのに最も適している環境と言えるでしょう。
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